※写真と本文は関係ありません
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こんなオイラだって、いきなり引き上げられれば減圧症になるんだぜ… |
耳抜き:ダイビングで一番教えにくいもの。
耳抜きが苦手な人は、理論や方法論に固執し過ぎだと思う。
幾つか例を上げてみる…
理論編)
・睡眠不足だと抜けにくい
・体調が悪いと抜けにくい
・そもそも抜けにくい体質の人がいる
方法論編)
・耳抜きは耳管に空気を送り込んで耳道と圧力平衡を行うことである
・耳抜きには、1)バルサルバ法、2)トインビー法、3)ヨーイング法がある
・バルサルバ法は最も容易で、ヨーイング法は便利だが難しい
さて、いきなり結論:
こういうことを覚える前に、まずは「泳ぎの練習をしっかりやって水に慣れる」ことが大事なんだよ。こうするといい、こうすれば抜けるってノウハウを、水の中でちゃんとやれないってところが問題なんだ。それは「慣れる」ではなく「練習する」って発想にならなきゃなんだよ…
僕が所属する倶楽部のメンバーで、OWS(OpenWaterSwiming)の選手がいる。彼女は初めての講習会で全く耳抜きが出来ず、はじめはロープを手繰っても 3mも潜れずに、すぐ上がってきてしまった。ここで先輩から「ロープに足を絡めて足から潜り、一手繰りごとに耳を抜くように」とのアドバイスがあった。
果たして彼女は…その姿勢で5m潜っちゃったんである。更に練習を重ねて、その日のうちに10mまで行っちゃったのだ!
彼女が成功した理由について考えてみる:
理由としてあげられるのは…
・先輩のアドバイスが的確だった
・彼女に耳抜きの才能があった
・彼女の体調が良かった
実はどれも正しく、どれも間違いなんだ。それは…
彼女がOWSの熟達者である(=海での振る舞いに慣れている)という点を見逃しているからだ。
OWSの競技カテゴリーは基本的に、5kmから。我が国では普及の意味もあって400mの入門向けカテゴリーもあるが…
あなたはプールで400m泳いだ経験があるだろうか?
ここがポイント。大抵の人は体育の授業で25m泳がされてそこまで。スクーバは勿論、スキンダイバーって日常のトレーニングなんかまずやらないからね…
水の中って「非」日常なんだ。ハッキリ言って泳げない(水の中で自分の身体を安定させることが出来ない)人には無理。無理な環境で「ヘッドファーストで潜ったら、鼻をつまんで耳道に空気を送れ」なんて言う事自体、机上の空論なんだってこと。僕らは、その気になれば毎日海で泳げるけど、普通の人はこれも無理でしょ。
耳抜きが苦手な人にすすめる:
1)まずはプールでも海でも、せめて10分間くらい泳ぎ続けられるようになろう
2)ダイビングプールの手すりや、海ではロープを利用して、足から先に潜って「耳を抜く感覚」を覚えよう
3)一度でいいからインストラクターに教わろう。そこで耳が抜けなかったら、そのインストラクターがヘボだということだ。
(※稀に、あなたの耳に先天的な異常があるケースがあるが、それについてはインストラクターから指示がある)
もう分かったよね。これ以上、ネットで無駄な情報を集めることを止めよう。
耳が抜けないあなたは、泳ぎが下手なんだ。僕に言われたくないだろうけれども…
僕はガイドじゃないから人に教えることはしない。自分の安全は自分で守る、そのためには危険に近づかないことではない、危険に対応できるスキルを磨くこと…自分を鍛えることなんだ。トレーニングしない人とは海へ行かない。
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息止めのハナシ:(※以下、取り扱い注意。やり方間違えて死んじゃっても僕は責任負いません)